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ここだけのはなし

10人見れば、10通りの解釈がある。日常にてふと思ったことを自分なりに綴ります。

心のない男、心を持つアンドロイド・3

小説

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「第2話」はこちらとなります。

ryuuraita.hatenablog.com

 

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早乙女アキラは、例の少年と共に部屋に入ってきた。
 
アキラはどかっとリビングテーブルに腰掛け、
 
少年はリビングソファで横になった。
 
「彼はどうした?」
 
「行動のフィードバックさ」
 
私が用意したコーヒーを飲みながら、
 
アキラはゆっくりと答えた。
 
「フィードバック?」
 
「そうさ。彼は人間になろうと成長している」
 
「人間に?」
 
「ああ、彼は今日はじめて、ウソをついた」
 
「ばかな、アンドロイドがー」
 
私はそこまで言ってから言葉につまると、
 
アキラがにぃと笑った。
 
「そうさ、お前は知っているはずさ」
 
私は、あの少年が持っていた紙を思い出した。
 
たしかに、アンドロイドならば空中や
 
地表に落ちた灰だって拾えるだろう。
 
しかし、少年が持っていた紙を調べると、
 
それは灰ではなく模型の塗装材だった。
 
「あいつは、ケンは正義感が強くてな」
 
アキラは眠るアンドロイド「ケン」を
 
見ながら、言葉を続けた。
 
「自分の正義のためなら、何をしてもいいと教えたのが間違いだったかな」
 
「おまえ、そんなことをアンドロイドにプログラムしたのか」
 
「いいや、俺がプログラムしたのは正義の心だけだ。それ以上のことはしていないよ」
 
「そんなわけないだろ。現に、アンドロイドはウソをついたんだ」
 
「いいや、俺が教えたのは正義だけだ。強いて言えば、何かを生み出したいという欲求かな」
 
ぽかんとする私をよそに、アキラは講釈を垂れ始めた。
 
「タカシ、人はなぜ何かを生み出したいと思うんだろうな」
 
「は?」
 
「創作意欲じゃなくてもいい。食べたいとか、寝たいとか、女とやりたいとか……。そういう欲求だよ」
 
そんなこと、急に言われてもわからなかった。
 
通り一遍の解答なら持ち合わせている。
 
しかし、アキラが望んでいる解答でないことが
 
わかっているだけに、口にできなかった。
 
「俺はアンドロイド研究を始めて、もう10年になる。今までも革新的な開発者として、第一線でやってきた。その中で、俺は思ったんだ」
 
私はいつにないアキラの様子に、唾を飲み込む。
 
その音を聞いたのか、アキラもいつも以上に
 
ゆっくりとしゃべる。
 
「俺たちは、アンドロイドなんじゃないかって」
 
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「第1話」はこちらから!
 
 
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