何度も見た映画~大人も子どもも楽しめる「ビッグ」~
トム・ハンクスの出世作とも言われる「ビッグ」。
スティーブン・スピルバーグの妹さんが脚本を書いて、ハリウッドスターとなっているトムハンクスが主演として登場。この映画がおもしろいのは、大人になりたい子どもが、本当に大人になってしまうところ。ここでいう大人とは、精神的ではなくて体だけが「大人」になってしまう点である。どこかのアニメのように「見た目は子ども、頭脳は大人」の反対バージョンと言ったところだろうか。
トム・ハンクスは一夜にして大人になってしまった子どもを演じる。まさに「見た目は大人、頭脳は子ども」の状態を演じることになる。映画の冒頭で、家から追い出されたトムがニューヨークの安いホテルで1人泊まることになる。そのシーンで、鍵を掛けてシーツに包まるのだが、大人ではなくて1人の子どもにしか見えない。
そんなトムは、とあるおもちゃ会社のデータ処理係として仕事を始める。始めて手にする給料は、「子ども」のトムからすれば大金で、自分のことを信頼している友人とお金を使って豪遊を始める。さらに、データ処理係だったトムだが、おもちゃ会社の社長から「子ども心がわかる」と気に入られ、おもちゃ開発のトップに君臨する。
もちろん、そんなトムのことを気に入らないライバルが出てくるが、トムの勢いは止まらなかった。トムはおもちゃ開発で大金を手に入れ、豪勢なマンションに住むようになり、さらには一人の女性と恋仲となる。
何でも手に入れたトム。社会を知ることで、大人になってしまったトム。しかし、トムが大人になっていくことに、恋仲となった女性は不信感を抱く。純粋な、子どものままだったトムが好きだったからだ。彼女からすれば、トムは本当の「大人」ではなかったのだ。
では、「大人」とはいったい何なのだろうか?
着飾ること?
異性をたくさん魅了すること?
お金を得ること?
「ビッグ」という映画は、優しく僕たちに「大人」になることを問うような映画に感じる。たしかに、一夜にして子どもが大人になったり、子どもが会社に就職してトップレベルまで駆け上がったりと、荒唐無稽な部分はたくさんある。
しかし、その点を揚げ足を取るように指摘していると、この映画の魅力は一ミリも理解できないと思う。
いきなり大人になると、自分の中が大人になれず、外観ばかりが気になって「大人」となるためのステータスやアイテムに頼ってしまう。ゆっくり成長することの大切さを、優しいストーリーで魅せるこの映画は、傑作だと思う。
奇抜なストーリーと、子どもから見る大人の世界を映しだした「ビッグ」
ぜひ一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか?