ここだけのはなし

10人見れば、10通りの解釈がある。日常にてふと思ったことを自分なりに綴ります。

仕事で大事なのは思想 or マニュアル?~ベストキッドから考える仕事論~

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仕事において、あなたは感情を大事にしたいですか?

 

それとも、やり方の習得を大事にしたいですか?

 

僕は会社勤めと個人事業主を経験しました。言っても、個人事業は今年1年をやっと乗り越えた感じですけれど。
1年を振り返ったとき、僕が勤めていた会社では細かく指示されることは少なかったです。とりあえず行動してみて、その後に修正するという行程が続きました。変に「このようにして動きなさい」という、会社で働く上での理念みたいなものが先行しいなかった気がします。

でも、会社によっては明確な目標を与えず「とにかくお客さんのために働きなさい」と、思想を社員に投げて何も指示しない会社があるようです。
ですが、よくよく考えると、思想を元に動くように指示するのって、ナンセンスだと思うんですよね。

なぜナンセンスなのか。

たとえば、僕のような個人事業主が「とにかく好きなことで仕事がしたい」という理由だけで仕事を始めたとします。しかし、どのようにマネタイズするのか、どのように宣伝するのか考える必要があります。もちろん、営業も必要となります。そのこまごまとした部分を考えないと、とてもじゃないけど仕事にならないと思います。

もちろん、こういった「仕掛け」が完璧でも自分が作ったり提供したりするコンテンツが死んでいると売れなくなります。自分が「こういったものを作りたい」という思いは大事です。

原動力なので。

ですが、その原動力に身を任せるだけでは、いつかは袋小路に行き着きます。結局は宣伝できないと、どれだけ素晴らしいものでも知られずに終わります。
これは、先ほど紹介した「お客様のために仕事をしない」を謳う会社でも同じです。社員に明確な「目的」を掲げないと、社員は何をしていいのかわからなくなるからです。売りたい商品があっても、その売り方がわからないと意味がないのです。

そんなことを考えているとき、僕は「ベストキッド」という映画を思い出しました。

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この映画は、1984年にオリジナル版が作られ、2010年にアクションスター「ジャッキー・チェン」出演でリメイクされました。

この映画では、強くなりたい少年の気持ちに答えた師範が、少年に稽古を付けていく過程が描かれます。師弟間の交流が丁寧に描かれると共に、人の成長が描かれた名作です。

特に、有名なのが修行のシーン。

オリジナル版では、車のワックスがけやペンキ塗りなど、到底武術には関係のないことばかり少年はやらされます。しかし、そのひとつひとつが武術の基礎になっていることに少年は気付き、どんどん武術へと昇華します。この修行のミソは、「考える」ことを身に付けることだったのです。
リメイク版でも同じように、ジャッキーが少年に上着を脱いで、掛けて、取る動作を永遠にやらせます。しかし、その動作にこそ強くなるためのエッセンスを含んでいました。

これは、仕事でもおなじことが言えると思います。ベストキッドでいう修行は、会社ではマニュアルになるかと思います。

マニュアルと言えば、良くないイメージがあります。しかし、そのマニュアルに書かれてある仕事の「目的」と「やり方」を自分で考え、ひとつひとつ自分の中で砕いていけば「仕事」になります。


マニュアルを読み上げるだけなら、ただの紙切れです。しかし、そのマニュアル内に眠る「お客様に対してどのように接すればいいか」を考えながら行動すれば、ベストキッドの修行と同じかなって思います。
ただの掃除が修行となるように、ただのレジ打ちが「誰かを幸せにする仕事」に早変わりするでしょう。会社から無理に「お客様を大切にしなさい」と指示されるよりも、やっている仕事の重要性に自分で気づけるほうが、モチベーションも大きな違いを与えると僕は思います。

「ベストキッド」は、もちろん娯楽映画として傑作です。
しかし、傑作の映画というのは、静かに大事なことを伝えてくれる力があるかと思います。このベストキッドにある修行シーンのように、何気ない部分を捉えて自分の行動へ落とし込む。

考えることの大切さを教えてくれる「ベストキッド」、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。