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ここだけのはなし

10人見れば、10通りの解釈がある。日常にてふと思ったことを自分なりに綴ります。

【1000字コラム】「普通」という恐怖

 

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1・俺は久々に友人に会った

 

俺が待ちを歩ているときだった、急に後ろから懐かしい声が聞こえてきた。

 

振り返ると小学校から高校まで同じだった友人で、たまに遊ぶことがあった。

 

進学先の大学は違っていたこともあり、成人してからはまったく合っていなかったが、

 

よく俺の後ろ姿でわかったなと思ったが、つい懐かしくて握手してしまった。

 

友人は少し腹が出ていて、目じりにもシワが見え始めていた。

 

10年前のような元気な感じは見られず、すでに若さのすべてを何かに吸い取られてしまったように見えた。

 

2・とりあえず、俺たちは近くの喫茶店に入ることにした

 

つい懐かしくなった俺たちは、近くの喫茶店でコーヒーを飲むことになった。

 

店内は昼の時間帯ということもあり、大学生が多かった。

 

中には営業や仕事の休憩として使っているサラリーマンの姿も見えた。

 

友人は俺に今日は休日か、と聞いてきた。

 

俺は今は自営業だから仕事でも普段着だ、とだけ伝えた。

 

友人は俺の話に興味を持ったのか、どんな仕事をしているのか聞いてきた。

 

俺は自分でライターなんて答えるのが恥ずかしいこともあり、

 

たいがいは執筆業と伝えることが多い。

 

友人はすごいな、とだけ言って自分のコーヒーに手を付けた。

 

彼の口に水分が含まれると、淀みなく仕事の不満が出てきた。

 

給料が上がらないや上司がいうことを聞かない、精神論しか言わない、

 

クレーマーの処理に追われると、仕事に関しては

 

何もいいことを言わなかった。

 

俺はだったら辞めればいいじゃないかと、と言った。

 

しかし、彼は今の生活をとりあえず手放したくはないようで、

 

転職や仕事を辞めるという発想はなかったようである。

 

彼は俺に対して何かいい仕事はないか、と言ってきたが

 

別に俺は人材派遣をしているわけでもないので、

 

何か仕事先を知っているわけではなかった。

 

俺は正直に今のところは知らない、とだけ答えた。

 

3・友人は花を摘み取られたようにしぼんでしまった

 

俺は彼の力になれないことを残念に思ったが、

 

それ以上に自分の生きている時代の不安定さに

 

背中をなぞられたような気分になった。

 

自分だって生活に余裕があるわけではない。

 

しかし、彼と俺で違うのは、生活に臨むものや

 

環境なのだろうと思った。

 

彼が今の環境で何とかしようとするからこそ、

 

ジリ貧になっているのだと感じてしまった。

 

だが、いろいろな職場を見ていると、

 

どの仕事場も実はジリ貧になっていて、

 

それが年老いた友人を生み出しているのだとすれば、

 

それはとても恐ろしいことだと俺は思った。

 

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