ここだけのはなし

10人見れば、10通りの解釈がある。日常にてふと思ったことを自分なりに綴ります。

隣人を愛せよ・1

f:id:ryuuraita:20160601155621j:plain

 

〇登場人物 

  • 富永マコト…24歳
  • 末田エリ…23歳
  • 加持ケンジ…23歳
  • 近藤ナオヤ…22歳
  • 塚本ヒロコ…24歳
  • 宮本ジュン…20歳

 

〇シチュエーション・飲み屋

 

f:id:ryuuraita:20160601155859j:plain

 

富永マコト、末田エリがカウンター席に座っている。

 

マコト 「俺はもう疲れたよ、人生に」

 

エリ 「ねぇ、まだ聞かないとだめ?」

 

マコト 「なんでこう、俺は恋愛が続かないのかねぇ。もう嫌だよほんと」

 

エリ 「じゃあどこかに埋まってなさい」

 

マコト 「いやいや、相手からサインを出してくるんだぜ。

     そりゃ男なら乗るでしょうよ、それで付き合うことになるでしょうよ。

     それなのに一ヶ月経って別れようって。もう意味わからん」

 

エリ 「はい、おつかれさまです」

 

マコト 「自信喪失と自己嫌悪と人間不信。今の俺はこれで構成されている」

 

エリ 「バファリン的に言うな」

 

マコト 「ダメだ。もう俺は一生女と添い遂げることはできないんだ」

 

エリ 「ならタイにでも行っちまえ」

 

マコト 「旅費と手術代、出してくれる?」

 

エリ 「ここの飲み代払わせようとしてる男が言う台詞じゃないわね」

 

マコト 「なぁ、エリは俺と長い付き合いじゃないか。どうして長続きしないのか。

     考えてくれよ」

 

エリ 「いいわよ。……わかった、あんたに魅力がないから」

 

マコトが胸を打たれるパント。呆れるエリ。

 

エリ 「付き合っていられない」

 

マコト 「はっ!」

 

エリ 「こんど下らない事喋ったら、伝票そのままにして店出るから」

 

マコト 「わかった、どうして俺が短い期間しか付き合えないのか」

 

エリ 「……なに?」

 

マコト 「今俺は、その女の共通点を見出した」

 

エリ 「どうぞ、喋って気が止むなら」

 

マコト 「1カ月しか付き合わなかった女は、みんな髪飾りを付けていた」

 

エリ 「はい?」

 

マコト 「髪飾りだよ。バレッタっていうのかな? あれを付けてた」

 

エリ 「だから」

 

マコト 「あれを付けてない女と付き合えばいいんだ」

 

エリ 「ぜったい、関係ないから」

 

マコト 「いいや。ここまで2連敗なんだ。確実なデータもある」

 

エリ 「データっていえるか。……ほんとに2人とも、バレッタ付けてたの?」

 

マコト 「ああ」

 

エリ 「あんた、呪われてるんだって」

 

マコト 「そうだよ、これはバレッタの呪いだよ。いや、髪飾りの呪いかな。

     そういや俺小さい頃、妹の髪飾りを壊したことがあるわ」

 

エリ 「よし、じゃあそれを見つけてお祓いに行こう。

    さあ解決したね、良い子は帰りましょう」

 

席を勢いよく立ち上がるエリ。

 

マコト 「待て待て待て、はい座って」

 

手を引いて席に着かせるマコト。

 

マコト 「頼むよ、エリ」

 

エリ 「聞かなくてもわかる。わかるのよ、私」

 

マコト 「ついに能力に目覚めたか」

 

エリ 「あんたと五年も腐れ縁持っちゃったからよ、バカ」

 

マコト 「ならわかってるよな、エリ。

     頭にバレッタを付けない女の子を紹介してくれ」

 

エリ 「……紹介、するの?」

 

マコト 「頼むよ。この俺に掛かった呪いを解けるのは、エリだけだよ」

 

エリ 「……偶然ね」

 

マコト 「なんだよ?」

 

エリ 「今日わたしも、あんたに相談したいことあるって言ったでしょ?」

 

マコト 「そういえば。どうしたんだよ」

 

エリ 「実は、友達から誰か紹介してって頼まれてたんだよね」

 

マコト 「おお、これは何かの導きか」

 

エリ 「はぁ……。隣人を愛せよというけど、愛する対象を間違えたかも」

 

マコト 「キリスト教?」

 

エリ 「そうよ」

 

マコト 「どんな意味なんだ」

 

エリ 「そのままよ。愛するの、隣の人を」

 

マコト 「愛するねぇ」

 

エリ 「そ、愛すればいいの」

 

マコト 「じゃあ、今度隣に来る人を愛すればいいんだな」

 

エリ 「なんか違う気がするけど……」

 

マコト 「エリ?」

 

エリ 「ま、まあそういう感じで。じゃあ、集めておいて人を。3,3でやるから」

 

マコト 「よし、オッケー」